こんにちは。ドラマーのひろです。
近年、外資系コンサルティングファームは高い人気を誇る企業です。
例えば、ボストンコンサルティング、マッキンゼーなどの戦略コンサルティングファームやBig4(PwC、デロイトトーマツ、EY、KPMG)などのファームはいずれも就職人気ランキングでは高い水準です。
その一方、外資系コンサルティングファームは激務だとかブラックという噂をよく聞くのではないでしょうか。
僕自身、外資系コンサルティングファームに勤めてみて激務さやブラックさをよく感じました。
今回はどのように激務なのかより具体的に紹介します。
この記事は以下の方にオススメしたい内容です。
- これからコンサルティングファームへの就職を考えており、少しでも実態を知りたい方
- コンサルティングの仕事内容に魅力を感じているが、激務という噂がネックになっている方
- コンサルティングファームが激務なのは労働時間が長いだけだと思っている方
そのほかに、以下に興味がある方は別に記事を用意して紹介しています。
外資系コンサルティングファームの基礎知識
外資系コンサルティングファームにどのようなイメージをお持ちでしょうか。
まずよくあるイメージとしては以下が挙げられるのではないでしょうか。
- クライアントの疑問に対する質の高いアドバイスをドキュメントにまとめて提示することがコンサルティングである
- コンサルティングファームにはそれぞれメソッドがあり、高度なメソッドを用いることで質の高いコンサルティングを提供している
- コンサルタントは高い頭脳と豊富な知識を持っている。そのような人間がチームを組むことでクライアントの期待を超えるサービスを提供できる
- コンサルティング報酬は高い、よってコンサルタントの収入も多い
まずは、それぞれのイメージに対して実態はどうなのか紹介し、イメージとのギャップを埋めていきたいと思います。
コンサルタントの仕事はアドバイスが本質ではない
また、ドキュメントにまとめることでもない
コンサルタントに求められること、それはクライアントの期待に応えることです。
ここでポイントなのが、依頼ではなく期待であるという点です。
つまり、具体的に「〇〇をしてほしい」と言われるまでもなく、コンサルタントが自ら「〇〇をして欲しいだろう」と考えて行動する必要があるということです。
- 提案Aを通すに当たってX取締役の承認が必要になる。そこで、X取締役とコネクションのあるY氏に頼んで、事前説明を行った
- 提案Aを作成するに当たってクライアント社員は仕事がパンパンで手が付けられない。そこで、自分の仕事を早めに終わらせて提案を作成した
- 提案Aを作成するに当たって見積りが必要となった。クライアントはどのような粒度で見積りを作ればよいかピンときていないので、例をもとにベースとなる見積りを作成した
例を挙げればきりがありませんが、最終目標を達成するために必要なことはすべてサポート対象となることがあります。
期待に応えるとはそういうことになります。
つまり、コンサルタントの仕事はアドバイスをすることだけではありませんし、ドキュメントを作るのは本質ではありません。
例えばクライアントと「ヒヤリングし、その結果からドキュメント作成する」という単純な契約であれば問題ありません。
しかし、コンサルの契約ではそのように単純なものではなく「御社の売り上げを増大させる」や「課題を見つけ出し施策を講じる」など漠然としたものが多いためどこまでが契約に含まれるか線引きが難しくなります。
結果として、コンサルタントの期待は大きくなり、コンサルタントの仕事の幅も大きくなります。
コンサルティングファームのメソッドは大したものではない
「コンサルティングファームは優れたメソッドを持っており、頭の良いコンサルタントがそのメソッドを使いこなすことで難しい課題を解決している」と思う方もいるかもしれません。
私はBig4でもかなり大きなファームで働いたこともありますが、そのようなファームでも優れたメソッドが標準化しているわけではありませんでした。
優れたメソッドは個人のノウハウとして属人化いる場合はあります。
ただし、そのノウハウを一般化するような動きはプロジェクトアサインされている中ではなかなか進みません。
その結果として、個人の努力で得た知識が個人の中だけに貯められているのが現状です。
コンサルタント個人はなかなか得られない経験から得た優れたノウハウを持っている場合があります。
しかし、ファームの中で誰でもそのノウハウにアクセスできるわけではありません。
コンサルタントは努力で質の高いサービスを提供する
コンサルタントは頭が良いから難しい仕事をこなせるわけではありません。
もちろん頭の良さも大事ですが、それ以上にコンサルタントは多くの汗を流しています。
汗を流すというのは、例えば、わからないことがあっても情報を得るために動き回るということです。
ネットで調べればすぐ出てくるような情報なら苦労はないですが、クライアントがある程度調べてそれでもわからないから聞いてくるような情報はなかなか手に入るものではありません。
ファームでは情報プラットフォームを使用できるようになっている場合もあるので、そこから情報を得られるかもしれません。
しかし、それでもだめなら、分厚い本を読んだり、経験がある周囲のコンサルタントに聞いてまわったり、クライアントにヒアリングしてまわるということです。
また、時にはそのものズバリな情報はないために仮説を立てて立証していく必要もあるかもしれません。
コンサルタントは答えがなかなか見つからない問いに対して考え、行動して、また考えます。
泥臭く情報を集めるとはそういうことだと思います。
答えの見えない問いに自信をもって素早く答えていくというのはとてもプレッシャーがかかるものです。
スマートに問題を解決できることはほぼないと考えてよいと思います。
苦労して苦労して、それでも考えるのがコンサルタントの仕事です。
コンサルティング報酬は高い、よってコンサルタントの収入も多い
同じプロジェクト型の職種であるSEは「月単価100万円~160万円」と言われています。
コンサルタントの報酬はその倍以上あるケースが多いです。
ではこれが高いかと言われると、そうは思いません。
なぜなら、それくらいは働いていると思うからです。
プロジェクトにもよりますが、労働時間でいえばコンサルタントはSEの2人月程度は働いていると思います。
完全に私の主観ですが、平均残業時間は5~6時間程度です。もちろん残業した分クライアントに請求はありません。つまり、クライアントとしてはやるだけやってもらった方がオトクですよね。
業務内容もどこまでがコンサルタントの仕事か線引きは難しいので、おのずとたくさんの仕事が積まれていきます。
また、コンサルではプロジェクトとしてドキュメントなどの成果物の品質を担保する必要があるので、どんな資料もPMのレビューがあります。
これによってコンサルタントはレビューから何度も修正が発生し、PMはレビュー地獄です。
レビューのアポイントが取れる時間が深夜しかない場合もザラです。
そのようにしてコンサルタントの稼働時間は莫大になっています。
稼働時間や成果物の品質において、コンサルタントはほかのメンバーを圧倒している場合が多いです。
具体的にどのように激務なのか・なぜ激務なのか
コンサルの仕事について基本的なことをお話ししたうえで、ここからは外資系コンサルはどのように激務なのかを紹介します。
激務というと「労働時間が長い」というニュアンスが強いですが、それ以外にも様々な観点があります。今回は以下の観点からお話していきます。
- 労働時間がどれだけ長いのか
- 精神的プレッシャーはどれだけあるのか
- 業務時間内の仕事の密度はどれだけあるのか
それではそれぞれについて紹介していきます。
労働時間がどれだけ長いのか
前提として、コンサルタントの仕事はプロジェクトワークなので、プロジェクト次第で大きく変動します。
ただし、基本的には5~6時間程度は残業すると思ってください。
つまり、例として9時~18時で通常勤務するとすれば、23時~24時くらいまで残業することになります。
これは「残業を強要されている」ということではありません。
品質の高い成果物を前提としてプロジェクトワークすると、自然とこれくらい残業することになるということです。
なぜ長時間となるのか、もう少し具体的に
とある仕事があるとしましょう。
すると、まずミーティング・納期などからドキュメント等をいつまでに終わらせないといけないかが見えてきます。
このときドキュメント等以外にもやることがいくつも出てきます。
そして、これらをいつまでにやらなければならないかというと「明日までに」ということが多々あります。
なぜ「明日まで」なのかと言えば、明日ミーティングが設定されていることもあるでしょうし、明日以降は他のやることがパンパンになっているということもあります。もしくは、クライアントの要求スピードが「明日まで」だったりすることも。
すると今日中にレビューまで終わらせないと明日ドキュメントを修正する時間がないわけです。
そこでPMのレビュー可能時間を見てみると、大体21時以降なわけです。
逆にPMも複数プロジェクトを持っているとレビューがバンバン入ってくることになります。すると、深夜帯まで予定がびっちり埋まってくるということになります。
コンサルタントの残業は強要ではなく、仕事を回すためには残業せざるを得ないために発生します。
これは、単価の高いコンサルタントはプロジェクトにアサインされる人数がとても少ないために、少人数に仕事が集中するということも原因です。
精神的プレッシャーはどれだけあるのか
コンサルタントにかかる精神的なプレッシャーは非常に大きいです。
ただでさえ、答えがわからないor自分たちで実行できないから依頼が来るところに、「納得感がある成果を求められる」、「短い時間で成果を求められる」、「品質が高い成果を求められる」のでかかるプレッシャーは相当なものです。
また、相対するクライアントも重役が多いので高圧的な方だとよりプレッシャーを感じやすいかもしれません。
さらに、PMによっては高いプレッシャーがかかることがあります。
PMやコンサルタントからもプレッシャーがかかる
コンサルタントには高い品質が求められます。
そのため、コンサルタントがクライアントに提出する成果物はもちろんのこと、作成したドキュメントはすべてレビューが必要となります。
レビューにおいては、論理的な欠陥をかなり詰めていくことになります。
一見、自身の中でロジックが通っているとしても他者からみると不足があったりするものです。
このようなレビューでの数多い指摘が、プレッシャーに感じることがあります。
実際私も、論理を否定される=思考を否定されるような気分となり追い詰められているような気分を味わったこともあります。
業務時間内の仕事の密度はどれだけあるのか
長時間残業している分、一つのドキュメントに対して多くの時間が割けるのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。
結論から言えば、まったくそんなことはありません。
まず、コンサルタントの精神として「ドキュメントにかける時間は意味がない」というものがあります。
「コンサルタントの仕事の本質は頭を動かし考えることであり、成果物の作成時間は短くするよう努力すべきだ」ということです。
つまりドキュメントの作成時間は最短が求められます。
そのために、コンサルタントはOfficeの基本的な使い方は当たり前ですが、ショートカットなどスピードアップするための知識を勉強しておかなくてはなりません。
そして、そのような前提がある中で十分な作業時間はないと思った方がよいです。
日中はミーティングのファシリテーションで追われ、定時後に20時までのレビューに間に合うようにドキュメントを作成する。
こういうシチュエーションを基本と考えてください。
外資系コンサルティングファームは「圧倒的な成長環境」
ここまで本記事で紹介した内容を以下にまとめます。
- コンサルタントはクライアントの期待に応えることが仕事です。漠然とした依頼内容のために期待は膨らみ、仕事は増加します
- コンサルタントは泥臭く行動することが仕事の秘訣です。地道な作業の積み重ねでしか答えにたどり着けないような難しい仕事です
- コンサルタントは長い稼働時間・レビュー・頭の良さで品質を担保します。そのために、平均5~6時間の残業は覚悟が必要です
- コンサルタントは素早く成果を出すことが求められます。ドキュメントなど作業の時間は一般よりも大幅な短縮が求められます
- コンサルタントは「納得感がある成果を求められる」、「短い時間で成果を求められる」、「品質が高い成果を求められる」、「レビューによるコンサルタントからのダメだしがある」ことによりかかるプレッシャーは相当なものです
コンサルタントは有能であるためにスマートに仕事をこなすというイメージは実情と照らすとあまり当てはまらないと理解していただけたと思います。
ただし、これらの仕事内容により「圧倒的に成長できる」というのは間違いないと思います。
「圧倒的に成長できる」というのは転職サイトのクチコミなどでよくみられるワードです。
きつく、苦しい状況により自身に負荷をかけることで、ものすごい業務量を高い品質でこなすことができるようになります。
また、プレッシャーがかかっている状況に適応することで、ほかの職種に転職した際にも、プレッシャーを撥ね退けていくことができるのではないでしょうか。
就職する前に考えてみてほしいこと
私がコンサルタントになりたかったのは、上記の「圧倒的な成長環境」に身を置きたかったからです。
しかしそれは、長い労働時間やプレッシャーなど様々な困難を味わうということでもあります。
特に転職される方は、普通に転職するだけでも適応するのに苦労する場合があるのに対し、プラスしてコンサルタントとしての困難と直面するはずです。
ほかの業界から転職して最初のプロジェクトが地獄というのはよく聞くので、
まずは本記事の内容を理解してそれでも覚悟があるか考えてみるのはいかがでしょうか。
おわりに
近年、コンサルティング業界が高い人気なようですが、
それがスマートなコンサルのイメージによるものであれば「そうじゃないよ」と警告の意味を込めて記事を書きました。
少しネガティブな内容が強くなってしまいましたが、
どんな業界・どんな仕事でも必ずメリデメはあるので、
そこを理解したうえで業界を選ぶとよいのではないかと思います。
以上です。